【読書】「諦める力」を読んで

「諦める」というと「断念する」や「見込みがない」など一見ネガティブなイメージを持つが、仏教での「諦める」は道理を明らかにしてよく見極めるというポジティブな意味で使われている。

『諦める力』著者:為末大 2016年出版

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要約

  • 「諦める」という言葉の語源は「明らめる」からきている。自分の才能や能力、置かれた状況などを明らかにしてよく理解し、今、この瞬間にある自分の姿を悟る大切さを為末さんの実体験を基に書かれている。 よく「諦めなければ夢は叶う」と聞くけれど、、、誰でも夢が叶うのか?という問いに対して客観的になり他の選択肢もあることを為末さんは説明している。大事なのは、目的をどう達成するかで、為末さんは100m短距離の競技人口が多く自分より遥かに優れた選手がいる中で戦うより、400mハードルで競技人数が100mより少なく為末さんの身体にあった戦いの方が金メダルが取れるかもと考えて選んだ。重要なのは、目的を諦めなければ手段を変えてもいいということ。

勉強になった点

  • 日本人は「せっかくここまでやったんだから、諦めずに頑張ろう」や「もう少しで成功するから、諦めずに頑張ろう」を美徳としている。
  • 日本のスポーツシステムは型が決まっていて、何回素振りをやったとか、何球投げた、何本走ったという世界だが、大事なのは目的を達成するために自分で「どう工夫」したかだ。どれだけ頑張るかも必要だが、それよりも「何を」「どう」頑張るかが重要。
  • 「やめてもいい」と「やめてはいけない」の間に「やめたくない」という心境がある。
  • 人間には変えられないことの方が多い。だからこそ、変えられないままで戦えるフィールドを探すことが重要。
  • 最高の戦略は努力を娯楽化させること。
  • 全力で試してみた経験が少ない人は、「自分ができる範囲」について体感値がないので、ありえない目標を掲げ自信を失ったり、低すぎる目標を立てたりしてしまう。
  • 「どこで勝つ」より「何が勝ちか」をはっきりさせておくことが、自分が本当に勝ちたいフィールドでの勝利につながる。

感想

  • 目的を持たずにただ闇雲に頑張っても成果はもちろん出ないが、かといって目標を持って努力しても自分の戦えないフィールドであれば勝てない。。ということを学ばせていただけた1冊。ただ、続けているとわかってきて楽しくなって頑張れていい結果が出るといったことも少なからずあり、重要なのは自分の能力や性格をどれだけ客観視して分析できるのかという点だと思った。ただ、自分のことを理解することが一番難しいかもしれない。。